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梅の木の育て方

春先には可愛らしい花が咲き、人々の目を楽しませてくれる梅。そして梅干しや梅酒など味わっても美味しい梅の実。私たちにとって身近な梅ですが、植え付けから開花、実りから収穫までは意外と知らないことが多いですよね。今回は、「梅にはどんな種類がある?」「何年で実がなるの?」などの疑問についてまとめてみました。

梅の木の種類は500種類!

梅の木はバラ科サクラ属スモモ亜科で、なんと500種類もの品種があると言われています。
その中でも、花を楽しむための「花梅(はなうめ)」と、実を収穫するための「実梅(みうめ)」とに大別されています。これはあくまでも使用する目的によっての分類であり、厳密な区分ではなく、実際には、花梅のなかにも実をつけるものがあったり、実梅でも綺麗な花を咲かせる種類があったりと、花も実も両方楽しめる種類がたくさんあります。
さらに、丈夫で原種に近く盆栽向きの「野梅(やばい)系」、野梅系から変化した、枝の内部(髄)が赤い「緋梅(ひばい)系」、実梅の代表で梅と杏の交雑種の「豊後(ぶんご)系」。観賞用に人気の「枝垂れ系」などがあります。

梅の花言葉は?

梅全般の花言葉は「上品」「高潔」「忍耐」「忠実」で、西洋では「Keep your promise(約束を守る)」「fidelity(忠実)」「beauty and longevity(美と長寿)」と言われています。
また、赤やピンクの花をつける紅梅の花言葉は「あでやかさ」、白色の花をつける白梅の花言葉は「気品」と、花の色によって花言葉が異なります。

梅の産地日本一は和歌山県!

和歌山県は梅の産地日本一です。なんと年に約7万トンもの梅が収穫されています。和歌山県に続き、群馬県、三重県と続いていますが、和歌山県の収穫量は昭和40年産から57年連続全国1位となっていて、全国シェアの約7割を占めています。(令和3年調べ)

梅干しによく使われる梅の品種は?

|南高(なんこう)

全国的にも知名度の高い「南高」は、和歌山県を代表する品種です。和歌山県の「みなべ町」は南高梅生誕の地です。皮が薄く柔らかいので、ジューシーでとろけるような食感が特徴で、全国各地で親しまれています。

|小粒南高(こつぶなんこう)

「小粒南高」は花の数が多く、大量の花粉を飛ばすので、ほかの品種を受粉させる「受粉樹」としてもよく用いられます。南高の美味しさそのままに、一回り小さくした品種です。

|古城(ごじろ)

「古城」は、別名「青いダイヤ」とも言われる果実の美しい品種です。生産量が大幅に減り希少な品種となっています。南高梅よりも実が堅くしっかりしているため、梅酒にしたときに、梅エキスが多く滲み出て梅本来の美味しさが楽しめます。

|白加賀(しらかが)

群馬県を中心に栽培されている「白加賀(しらかが)」は、大粒で果肉が緻密な品種です。

|紅映(べにさし)

「紅映」は福井県限定で栽培されています。日に当たった部分が鮮やかな紅色に染まるのが特徴とされており、他の品種と比べてコクのある味わいです。

|豊後(ぶんご)

主に寒冷地の栽培に適しており、発祥は大分ですが、青森県や長野県で多く生産されています。あんずと梅の交雑種で大粒の品種です。

|鶯宿(おうしゅく)

奈良県、徳島県、大分県で主に生産されている「鶯宿」は、昔ながらの固くて香りの強い梅で、梅酒や梅シロップに向いています。

|竜峡小梅(りゅうきょうこうめ)

小梅の中で生産量1位の品種で、主に長野県で栽培されています。

|甲州小梅(こうしゅうこうめ)」

山梨県が産地で、カリカリ梅に向いている「甲州小梅」は歯ごたえのある分厚い果肉が特徴です。

梅の木を自宅の庭で育てるには?

|置き場所
日当たりの良い水はけの良い場所を好みます。梅が育つのに適した気温は7℃以上です。実梅は開花時に−4℃以下になると低温障害を起こしてしまい実りが悪くなるので、寒冷地では開花の遅い白加賀や豊後が向いています。

|種まき・植え付け
梅の木を育てるには、一般的にはホームセンターや園芸店で苗や鉢植えを購入して育てますが、種から育てることもできます。開花し結実するまでに5~6年と時間がかかりますが、成長過程をじっくり楽しみたい方に向いています。
種の準備は、まず7月ごろに完熟した梅の実から種を取り出し、果肉などは水で洗い流しておきます。種を密閉袋に入れ冷蔵庫で保管し、11〜12月になったら取り出し、水洗いをし、種まきをします。深さ20cmほどの鉢に赤玉土、腐葉土または樹皮堆肥を6:4で配合します。庭植えの梅は土を掘ったらたっぷりと堆肥を混ぜ込みます。

|水やり
庭に植え付けてから2年未満の場合は、土の表面が乾いたら、水をたっぷりと与えます。2年経てばその後の水やりは不要です。
鉢植えの梅は、表面が乾いたら水をたっぷりと与えましょう。

|肥料
地植えの梅には12月〜1月に緩効性肥料を与えましょう。鉢上の梅の木は、花の咲き終わりの4〜5月に緩効性肥料を与えます。

|植え替え方法
鉢底から根が見えたら、鉢の中が根でいっぱいになっているサインなので植え替えをしましょう。梅を鉢から抜いて3分の2程泥を落とし、変色した根や太い根は切りましょう。通気性のいい鉢に植え替え、土をかぶせて苗を安定させます。水を与え、一週間は日陰に置いておき、その後日向に移動させます。
ある程度苗が大きくなったら、地植えにするかどうかを決めましょう。

|剪定
梅の木は成長が早いので剪定が必要です。6月ごろと冬季に2、3回剪定しましょう。とくに冬季の剪定が大切です。庭植えは12〜1月、鉢植えは3月に思い切った剪定。植え付けから1〜3年はその年に応じた剪定方法を行う必要があるので注意しましょう。

|収穫時期はいつ?
梅の実は地植え、鉢植えともに3〜4年で結実します。
梅の実は早い地域では5月下旬に青梅の収穫ができます。完熟梅は6月下旬頃から7月頃に収穫するのが一般的です。暖かい気候の地域ほど旬の時期が早まります。

Q.収穫した梅はどうしたらいい?
A.収穫した梅は、梅干し、梅酒、梅ジャムなどを作るのに使いましょう。
収穫したら追熟が進むため、新鮮なうちになるべく早く加工しましょう。冷蔵庫に入れると低温障害になりやすく、茶色く変色してしまうことがあるため、新聞紙などに包んで冷暗所で保管しましょう。
加工しきれない分は冷凍保存しておくと、梅酒や梅ジュース作りに使うことができます。

Q.食べた梅干しの種は育つ?
A.塩漬けするなどして加工した梅干しの種から発芽することは基本的にはありませんが、確率は低いもののまったく発芽しないというわけではないようです。中には梅干しの種が発芽し、梅の花が咲いたという情報や、庭に木が育ったという情報もありました。梅干しの種の殻をわって、中の種子(アーモンドのような薄皮に包まれた部分)を植えると発芽率はあがるそうです。

まとめ

梅は寿命が長く、古木となっても力強く芽吹くことや、肌寒い早春に開花することから慶事の象徴とされ、松・竹と共に、「歳寒三友(さいかんさんゆう)」として讃えられてきた縁起の良い木です。厳しい寒さを超えて、早春には花・香り・果実と三拍子揃った梅の木を愛でてみてはいかがでしょうか?

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