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梅と言葉 〜ことわざ・慣用句〜

古くから広く言い伝えられてきた知恵や教訓、また風刺などを簡潔な言葉で表していることわざ。そして昔から習慣で使われてきた言い回しである慣用句。梅には面白いことわざや言い回しがたくさんあります。今回はそれらをご紹介していきましょう。

『塩梅』(あんばい)

塩梅(あんばい)とは、料理の味加減や物事の具合や様子を表す時に用いられます。程よく物事を処理する、並べる、配置するといったときにも用いられます。
ではなぜ、「塩」と「梅」で表現されるのでしょうか?
現在は、酢といえばアルコールや穀物を発酵させて作る醸造酢が一般的ですが、醸造酢(食酢)ができる以前は、塩と梅酢を使って料理の味付けをしていました。塩と梅酢が絶妙なバランスであったことから、その配分によって味の良し悪しが変わるため、丁度いい味付け加減を表すのに「塩梅がいい」と言っていたことが語源となっているとされています。
もともと塩梅は「えんばい」と読まれていましたが、意味や読みの近い「案配」と混じって、「あんばい」と読まれるようになったといわれています。

『松竹梅』(しょうちくばい)

松竹梅は三つの等級を表します。中国では、松と竹は冬の寒気に耐えて緑を保ち、梅は寒さの中、百花に先駆けて花を咲かせることから「歳寒三友」(さいかんさんゆう)といい、それが日本に伝えられました。
三友とは、友としてふさわしい「正直な人」「忠実な人」「多聞な人」のことを云います。「松」は厳冬に落葉せず、断崖絶壁にもよく根をはることから忍耐強く真心を尽くす人を表し、「竹」は節を持った人、隠し立てのない正直な人を表します。可憐な花を咲かせる「梅」は、逆境でも力強くある理想の人格を表していると言われています。
奈良時代から縁起物として飾りにも用いられてきました。
梅は他にも、「四君子(しくんし)」(梅・菊・蘭・竹)や、清潔な美しさの画材とされる「三清(さんせい)」(梅・竹・水仙)などの呼称もあります。

『梅木学問』(うめきがくもん)

梅の木は、成長は早いが、大木にはならないことから、にわか仕込みで不確実な学問のことを言います。それに対し、楠学問(くすのきがくもん)という言葉がありますが、こちらは成長は遅いけれど、着実に大木になることから、進歩が遅くても堅実に成長することの例えとされます。

『梅根性に柿根性』(うめこんじょうにかきこんじょう)

梅根性とは、梅はなかなか酸味を失わないところから、頑固で変わらない性質、良い意味では頑張り屋さんのことを言います。それに対し、柿根性は、 渋い柿でも干し柿にすると一晩で甘くなることから、 一見頑固そうに見えても、変わりやすい融通のきく性格のことを表します。

『桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿』(さくらきるばか、うめきらぬばか)

桜は枝を切ると、そこから腐りやすくなるので切らないほうが良いが、梅は枝を切ると、枝振りがよくなり、花をつけ実を結ぶことから、「個性に応じた手の掛け方をすることが大切という意味です。

『梅はその日の難のがれ』(うめはそのひのなんのがれ)

朝に梅を食べれば、その日1日災難から逃れることができるという意味です。昔から旅人が、熱病や風土病にかからないように、梅干しを携帯していたと言われています。梅干しには疲労回復効果や殺菌効果があるので、昔から病気の予防に使われてきたことからこのようなことわざが生まれました。

『梅は食うとも核食うな、中に天神寝てござる』(うめはくうともさねくうな、なかにてんじんねてござる)

生梅のたねに毒があるから食べてはいけないという戒めのための言葉。
天神は梅に縁の深い菅原道真のことを指し、道真が梅を愛したという故事より生じました。さらには、「梅の種を齧ると字を忘れる」(うめのたねをかじるとじをわすれる)という言い伝えもあります。

その他にも梅には様々な言葉があります。

●『梅は百花の魁』(うめはひゃっかのさきがけ)

寒さの厳しい中、その年のどの花より先立って咲くことから、優れた人は誰よりも先に秀でるものという意味。

●『炎天の梅花』(えんてんのばいか)

真夏の梅の花のように、実際にはありえないものや、非常にめずらしいもののたとえ。また、心の中で作り出す悟りという意味もある。

●『桜梅桃李』(おうばいとうり)

桜、梅、桃、すもものこと。転じて、それぞれが独自の花を咲かせることから、自分らしく個性を生かすことを意味する。

●『花も実もある』

一本の木に花もあれば実もあるように、外見の美しさだけでなく中身も充実していることをいう。

●『梅に鴬』(うめにうぐいす)

取り合わせの良いもの。両方にとって似合いの組み合わせである意味。
春先になり、梅の花が咲きウグイスが鳴き始める初春の光景の様子。万葉集の春の歌でよく歌われた題材で、絵の題材としてもよく使われた。
この句の後には、「紅葉に鹿(もみじにしか)」、「牡丹に唐獅子(ぼたんにからじし)」、「竹に虎(たけにとら)」、「柳に燕(やなぎにつばめ)」と続けて表現される。

まとめ

梅を使ったことわざ、慣用句はいかがでしたでしょうか?時代背景によって様々な表現や言い伝えがあって面白いですね。それだけ梅は人々にとって身近なものなのだと感じられます。

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